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特許出願

 技術的アイデアである発明を保護するためには特許庁に特許出願を行い、審査請求を行って特許査定を受けた後に登録手続をすることが必要です。

 このように発明は、特許庁に登録されることで初めて権利(特許権)として保護されます。

 特許権を取得するまでの手続の流れ(概略)(別タグ表示)

権利化できる発明とは?

 特許法で「発明」の定義は、「自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度なもの」とされています。

 発明でないものとして、自然法則自体、自然法則に反する永久機関、自然法則を利用していないスポーツのルール等の人的な取り決め、 数学上の公式、フォークボールの投球方法等の技能、情報の単なる掲示、絵画や彫刻等の単なる美術創作物、等があります。

 また、「発明」に該当したものであっても、特許として登録されないものがあります。例えば、ドラえもんのひみつ道具の「どこでもドア」のように、「どんな場所でも移動できるドア」を考えたとします。
 しかし、その「どこでもドア」の原理・構造を具体的に説明ができ、他人が出願時の技術で実現可能でなければ特許として登録されて権利化されることはありません。

 また、公序良俗に反するものや公衆の衛生を害するものも特許として登録されることはありません。

 「発明」は、上記の基礎的要件を満たして初めて「発明」として保護されます。

発明が完成したならば!?

 特許出願を行う前に気を付けなければならないことは、発明をしたからといって、喜び勇んで発明の内容を守秘義務のない他人に話さないようにしましょう。 親や兄弟等の親族であっても注意が必要です。

 発明の内容を出願前に公表した場合は、一定の条件を満たさない限り権利化することができません。
 なお、我々弁理士は顧客に対して守秘義務がありますのでお気軽にご相談下さい。

 その他、発明を権利化するには大まかには、以下の実体的要件を満たす必要があります。

  • 発明が産業上利用できること
  • 出願前に発明が他人により公表又は刊行物等に掲載されていないこと(新規性があること)
  • 発明が、公表され又は刊行物等に掲載された公知技術から容易に考えられないこと(進歩性があること)
  • 同じ発明が他人により先に出願されていないこと(先願であること)
  • 出願後に公開された他人の先の出願に同一の発明が記載されていないこと(拡大された先願の地位がないこと)

 したがいまして、発明をしたら、公表せずに速やかに特許出願することが大切です。

事前調査をしよう!

 上記のように、新規性・進歩性のないものは権利として登録されません。

 日本の特許制度は明治時代からあり、近年、出願件数が減少したとはいえ、毎年30万件以上の出願がされています。よって、最新技術ではない限り、既に似たような発明が出願されている可能性は高いといえます。

 無駄な出願をしないためにも、同一の発明について製品化されてないか、又は先願がされていないか等の先行技術を調べる事前調査を行う必要があります。

 弊所では、事前調査を行いますが、発明者自らかかる調査を行なうことを推奨しています。

 一般的な事前調査としてインターネットのGoogle等の検索サイトによる調査の他に、特許庁の検索データベースであるJPlatPatを使用した特許調査を行います。 項目ごとのキーワード検索も充実しているので、Google等の検索エンジンでの検索に慣れている方は感覚的に操作し易いと思います。
 JPlatPatの提供団体であるINPIT(インピット)はJPlatPatの利用方法に関する講習会の動画とテキストを公開しています。 動画は1.5時間程度で倍速再生もできますので検索前に受講しておくと良いでしょう。

 開発者の方は、専門分野の論文は調べるが特許公報は調べないという方が多く、特許調査をしてみたら既に同じ内容の発明が出願されていた、ということが多々あります。

 特許公報には、多くの世間では実施されていない発明が記載されており、無駄な開発をしない又は今後の開発のために関連技術の情報を把握する上でも発明者(開発者)が自ら特許調査をすることが大切です。

 なお、海外での事業展開を考えている場合は、海外で発明を保護するために各国毎に特許出願する必要があります。各国でも大抵の国では全世界基準で新規性及び進歩性が登録要件として 判断されますので、実施する国における特許調査を行なう必要があります。
 諸外国の検索データベースへのアクセスはリンクのページの外国知財サービスの項目をご参照下さい。  

調査の結果、同一または類似の先発明が見つかった…でも、諦めるのはまだ早い!

 事前調査の結果、自分の発明と同一または類似の先発明が見つかったとしても、直ぐに権利化を諦めるのは時期早々です。
 自分の発明と先発明の相違点がないか、改良点がないかを検討しましょう。もし、先発明が市場に出回っていないのであれば、技術的やコスト面で何らかの問題があり実施されていないことが考えられますので、今後、事業を展開する上で戦略も見直すことを検討しましょう。
 また、先発明が権利化されているのか、権利化されていても既に権利が消滅しているのかも確認しましょう。
 もし、特許での権利化が難しいと判断した場合は、他の権利を取得できないかを検討しましょう。例えば、新規性があり、先発明から極めて容易に考えられない場合は実用新案登録出願、デザイン性に新規性があれば意匠登録出願、顧客吸引力があり、シンボル性がある場合は立体商標として商標登録出願等を検討しましょう。

出願書類を作成しよう!

 特許出願を行うには、権利内容を記載した特許請求の範囲、発明の詳細を記載した明細書や図面等の出願書類を一定の様式で作成し、願書に添えて特許庁に提出しなければなりません。

 必須の書面である特許請求の範囲と明細書は、文章で発明の内容を記載しなければならず、特に特許請求の範囲は発明の権利範囲を示す権利書となる書類であり、どのように記載するのかが重要となります。

 弊所では、発明者・出願人と相談しながら明細書等を作成致します。 通常、明細書の書類の作成開始から出願まで一月以上かかる場合がありますので、発明の実施開始日を考慮して余裕を持ってご依頼して下さい。

 明細書等の必要書類を作成したら特許庁に特許出願します。

 海外での特許の取得も考えている場合は、PCT出願又はパリ条約の優先権を主張して各国へ出願する必要があります (PCT出願は1つの手続で複数の国へ出願手続ができるものです。)。

 もし、出願から1年前以内に発明を自ら公開してしまった場合は、新規性喪失の例外の適用を受けるための手続を出願と同時にする必要があります。 但し、かかる例外規定は日本のみの規定ですので海外では適用されない場合があることに注意して下さい。

 なお、特許出願したら、後述する出願公開制度により、発明者と出願人の氏名及び住所が公開されますのでご注意下さい。

出願してから1年以内にすべきこととは?

 出願後、1年以内であれば、その出願を基礎として、新規事項を追加した改良発明を新たに出願したり、海外に同じ発明又は改良発明を パリ条約の優先権を主張して各国別々に出願したり、纏めてPCT出願することができます。

 したがって、出願して1年間は、出願した内容に不備はないか、発明に改良点はないか、将来、海外で事業展開する必要がはないか、を検討する必要があります。

出願してから1年半後に発明が公開されます!

 出願後に出願人が自ら請求をしない限り、出願日から1年半を経過したときには、出願公開制度により出願した内容が特許庁から公報として公開されます。

出願してから3年以内に出願審査請求を!

 出願した発明を権利化するためには、出願日から3年以内に出願審査請求をする必要があります。
 かかる出願審査請求をしない場合は、その出願は取下げたものと見做されます。

 出願から3年経過すると技術分野によっては、発明が陳腐化していたり、事業戦略から発明に係る事業を廃止している場合や、出願後に公開された先願の公報に同一の発明が記載されている 場合があります。

 したがって、現状や将来の事業戦略を考慮して出願審査請求をするか否かを検討する必要があります。

 なお、一定の個人(個人事業主)や中小企業等は、審査請求料が最大1/3に減免される場合があります。

特許査定・拒絶理由通知

 審査請求後、拒絶理由がない場合は特許査定がされますが、拒絶理由がある場合は拒絶理由通知が特許庁より通知されます。

 拒絶理由通知には、意見書及び手続補正書を提出することにより対応します。意見書及び手続補正書を提出することにより拒絶理由が解消した場合は特許査定がされます。

 しかし、拒絶理由が解消されない場合は、拒絶査定が通知されます。拒絶査定が不服の場合は、拒絶査定不服審判により対応することになります。

発明の権利化!

 特許査定後、一定の期間内に1年~3年分の特許料を支払うことにより、特許として登録されます。ここまで来て、ようやく発明を権利化することができます。

 なお、一定の個人(個人事業主)や中小企業等は、各年の特許料が10年度分まで、最大1/3に減免される場合があります。

特許権を適切に管理しよう!

 しかし、権利化したからといって終わりではありません。

 特許の登録後に発行される特許公報の発行から6月以内は誰でも特許異議の申立てをすることができ、また、利害関係人は特許無効審判をいつでも請求することができます。
 権利者(特許権者)は、これらの申立てや審判に対応しなければならず、申立てや審決が確定した場合は、特許権は初めからなかった又は消滅したものとみなされます。

 そして、特許権者は、他人が特許発明を実施して特許権を侵害していないか市場を監視する必要があります。適切に市場を監視していない場合は、侵害により利益が減少したり、時効が過ぎて損害賠償等の権利行使ができなくなったりします。

 また、特許権の存続期間は出願日から20年ですが、登録日から権利維持のための年金を特許庁に納付する必要があり、特許権が消滅しないためにも年金の期限管理を行なう必要があります。
 年金は一定年毎に増額しますので、発明を実施していない場合は、年金の納付が事業負担となりますので、現在又は将来ともに、その権利を維持する必要があるのか検討する必要があります。

 なお、特許庁では、メールを利用して次期年金納付期限日を通知する特許(登録)料支払期限通知サービスや、 申出人の予納台帳または指定銀行口座から年金を徴収し、特許(登録)原簿に一年ごとに自動登録する自動納付制度 がありますので期限管理の補助として利用を検討すると良いでしょう。
 但し、かかる通知サービスは登録件数に制限があり、通知先のメールアドレスが変わった場合やメールサーバーの障害があった場合は通知されない、 また、自動納付は使用していない特許であっても自動納付取下書を提出しない限り年金が徴収されるというリスクはありますので、自己による期限管理は必須です。

 もし、期限を過ぎて年金納付を忘れてしまったとしても、期限日から6月以内であれば、年金の倍額を払うことにより権利の消滅を防ぐことができます。
 しかし、気がついたときには既に6月以上経過していたということが多いので、くれぐれも期限管理は十分注意をするようにしましょう。

 以上、特許出願について大まかにご説明してきましたが、ご理解頂けたでしょうか?

 発明を権利化するためには上記のような段階を踏む必要があり、権利化まで数年かかる場合もあります。そして、権利化後も長く付き合わなければなりません。

 弊所では、長年、特許出願から訴訟まで顧客に対してのご支援を行って参りました。特許出願に関してのご支援が必要な場合は、お気軽にお問い合わせ頂ければと存じます。

 また、個人・中小企業やベンチャーの方は、出願費用が負担で国内や海外での特許出願を躊躇しているのであれば、国や自治体等の補助金・助成金の制度がありますので利用を検討してみては如何でしょうか。
 J-Net21東京都知的財産総合センターのサイトで助成金等の知財支援の情報が掲載されています。 弁理士会でも援助金の支援を行っています。
 なお、助成金・補助金の申請時期はその年の4~10月で、応募も数回ありますが、事業計画の記載が要件となっている場合が多く、申請書類作成に時間がかかります。 また、予算の関係上、応募数が多ければ早めに応募を締め切る場合もあります。
 したがって、助成金・補助金を申請する場合は、余裕を持って早めに準備するようにしましょう。


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